異業種への転職

航空業界の闇!やりがい搾取の現場の実態

航空整備士は航空機の安全を守るために、日々様々な整備作業を行っています。

この仕事は高度な技術や知識が必要で、責任も重大です。

しかしその一方で、給料や待遇はあまり良くありません。

いわゆる『やりがい搾取』が横行している業界というのが筆者の実感としてはありました。

「やりがい搾取」とは、働いている人に対して「やりがい」という目に見えないものを労働の対価として意識させることで、低賃金や劣悪な環境で働かせることです。

航空業界では、このような「やりがい搾取」が問題になっています。

今回はそんなやりがい搾取の実態や、筆者が異業種転職へ踏み切った理由についても語ってみようと思います。

航空業界はやりがい搾取の巣窟だ(パイロットは除く)

航空業界ではさまざまな職種の人が働いています。

整備士、キャビンアテンダント、グランドスタッフ、グランドハンドリング、どの職種も総じてやりがい搾取を感じるブラック事例が多いと感じました。

長時間労働・低賃金、昇給わずか

航空業界の特徴として、長時間労働の割に低賃金という実態があると思います(操縦士を除く)

さらに長年働いても昇給は僅かで、働けば働くほど業務内容に見合っていないというのが多いと感じます。

会社側からは「やりたかった仕事ができて満足だろう。それ以上望むのは贅沢だよ。」

という声がひしひしと感じられます。

整備士においては国家資格がある分、他の職種に比べると昇給幅は大きいかもしれません。

でも夜勤があったり、プライベートを削っての生活になるので、時間当たりで考えると恐ろしいことになります。

絶対に時給換算はやってはいけません。

業務内容に給与が見合っていない

例えば整備士であれば機械・電気・力学・材料・・・と幅広い知識が必要になり、業務には国家資格が必要です。

キャビンアテンダントは機内の保安要員であり、緊急時の大きな責任と役割を伴う業務で高い英語力と接客能力が求められます。

グランドスタッフもキャビンアテンダントと同様、英語力と接客能力、それにトラブル時などの臨機応変さも必要でしょう。

グラハンは夏も冬も大雨でも雹が降ろうと屋外で肉体労働です。仕事の中で腰を壊す人も多いですね。

総じてスキルや業務内容に対しての待遇は見合っていません。仕事は高度なことを要求されるのに低賃金であると言えます。

やりがい搾取の構図になる原因はなんだ?

航空業界は長年この問題を抱えている訳ですが、なぜ改善されないのでしょうか。

LCCの台頭で価格競争激化

近年日本の航空業界はLCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)の台頭によって一気に価格競争が激化しました。

それまでは競合といえば新幹線でしたので、新幹線が通っていない路線や長距離ではしっかりと利益を乗せることが出来ていました。

それが航空会社間の競争が発生し、利益が取りにくくなってしまいました。

それに伴い航空会社の利益も圧迫されて人件費も抑制されるようになったのです。

それが現業部門のグループ会社化であり、独立分社化です。

独立分社化の目的は、コスト削減や効率化を図ることでしたが、その結果、航空整備士の給料や待遇が低下しました。

航空会社の整備部門は、航空会社の利益に直接貢献する部門ではありません。

会社は表では「人財」などと聞こえの良い言葉でアピールしていますが、実態はむしろコストセンターと見なしていると思います。

グループ会社に移管された業務は本社から切り離されたため、給与体系も本体とは格差ができてしまう大きな要因となっています。

花形の業界で、憧れをもって入社してくる

航空業界は、多くの人が夢や憧れを持って入ってくる花形業界です。

飛行機やヘリコプターに携わる仕事は、社会的な使命感や責任感が強く、やりがいの高い仕事とされています。

しかし、そのやりがいを利用して、労働者の待遇や処遇を低く抑えることが行われているのです。

つまり、夢をかなえて入ってきた社員に無理を言いやすい、我慢させやすい構図があるのです。

働いている本人も夢を叶えたうえに働き方に文句をいうなんて贅沢だ、調子に乗っていると思われるのではないかと声を上げにくいというのもあると思います。

専門学校卒が多く、つぶしがきかない

上で挙げた空港で働く職業はどれも専門学校卒で入社される方が多く、他業界に転職しにくい・しようとしないというのも理由として一つあげられるポイントだと思います。

専門学校卒の人は大卒の人に比べて、就職先の選択肢が限られていると感じることがあります。

また航空業界は、専門性の高い仕事が多く、他の業界に転職するのが難しいと考える人もいます。

企業側からすると、一度入った従業員がずっと同じ待遇で働いてくれることほどありがたいことはありません。

これまでは転職するとしても同業他社や業界内で人材が回っているという構図が多かったのも事実です。

少しずつ転職が当たり前の世の中になってきた今、人材の流動性が高まればおのずと待遇も上がっていくのではないかと考えます。

整備士は責任感が強すぎる人が多い

航空整備士は乗客の命を預かるという仕事から、高度な技術力や知識だけでなく、まじめで責任感が強い人格も求められます

航空整備士の多くはこのような性格を持っており、自分の仕事に誇りやプライドを感じています。

しかしその性格を利用して、会社は彼らに過酷な労働を強いています。

低賃金で長時間労働をさせたり、自由な休みを与えなかったりするのです。

航空整備士は特にその気が強いと思いますが、責任感が強いがために自分が辞めることによって周りの同僚へのしわ寄せや、会社の業務が回らなくなるなどの影響を考えてしまい、転職を躊躇してしまう事が多いです。

欧米では雇用というのはあくまで労働契約であるという考え方が主流なので、辞めた後のことは関係ないよと

自らの家庭環境やキャリアプランに合わせて職場を変えていくのが普通です。

考えてみれば労働というものは賃金と引き換えに提供するもので、従業員が辞めた場合の人員補充や業務が回るかどうかとうのは会社側が考えなければならない事です。

義理や人情というのは日本人の持つ素敵な考え方だとは思いますが、ビジネス上では自分が不利益を被ってしまう可能性も大いにあると心にとめておきましょう。

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