プラントエンジニアとは
プラントエンジニア、少し聞きなれない言葉かもしれません。
でもとても魅力的な仕事で整備士からの転職としてもおすすめですので、その魅力と注意点についても説明したいと思います。
プラントエンジニアの仕事内容
まずプラントとは何ぞやというところですが、辞書を引くと次のように出てきます。
『プラント』英語:plant
ー工場や工場の設備のことー
プラントは工場という意味も持っている。工場のことをファクトリーと呼ぶことがあるが、プラントとファクトリーは解釈が異なる。プラントは工業活動に必要な素材や資源を作り出す生産設備を指す。例えば、石油プラントや化学プラントなど、製造されるものが素材や資源に限定される。ゴミ処理の一般廃棄物処理プラントや水処理の水処理プラントなどもプラントの1つである。一方、ファクトリーは生産ラインを持っている工場のことを指す。
実用日本語表現辞典
つまりクルマや家電などの製品をつくる工場ではなく、素材やエネルギーを作り出したり逆に何かを処理する工場もプラントと呼べるのです。
身近なものではあらゆるものに使われる石油を精製するプラントや電気をつくる発電プラント、排水を処理する水処理プラントなどがあります。
そしてプラントエンジニアとはこれらのプラントを作ったり管理したりする仕事で、分類すると次の3つに分けられます。
プラントエンジニアの種類
- プラント設計
- 施工管理
- 保守・メンテナンス
1.プラント設計
その名の通り、プラントを作るための計画をする職種です。
プラントをつくるための各種図面や官公庁向けの申請書類の作成、各種検討などを行います。
そのためプラントエンジニアの中でもデスクワーク中心の仕事になります。
物や設備の配置を決める配置計画から建屋の建築計画、配管のルート、排水まで考えたりするので、必要になる知識も非常に幅広く、大手の会社では細かく分業制になっています。
また仕事で関わる人がとても多いのも特徴で、顧客をはじめ各種メーカー、官公庁や電力会社との調整等も多くあります。
詳しくはこちらの厚生労働省の職業紹介がとても参考になりますので、ご覧ください。
厚生労働省ー職業情報提供サイト Jobtag ~プラント設計技術者~
2.施工管理
実際にプラントをつくる職種です。
実際には自分で手を動かすわけではなく、プロジェクトマネージャーとして現場の施工業者や職人さんをまとめ上げ、安全管理、進捗管理、原価管理などを行っていくことになります。
詳しくは施工管理について詳しく解説したこちらの記事をご覧ください。
航空整備士におすすめ!施工管理技術者の業務内容と給料を徹底解説!
3.保守・メンテナンス
プラントは作ってから何十年と稼働する設備が多いです。
そのため計画的な保守・メンテナンスが欠かせません。
航空機と同じように運転時間を管理して交換する部品もあれば、オンコンディションで日々点検しながら管理していく装置もあります。
プラントは一度動き始めると停止するのも再稼働するのも容易なことではないため、綿密な計画と関係機関との調整も必要になります。
また設備や部品が突然壊れることも当然あります。そういったときのトラブルシューティングや部品の手配、作業計画等を考えるのも保守・メンテナンスの仕事の一つです。
プラントエンジニアの年収
プラントエンジニアの年収は高い傾向にあります。
もちろん会社規模やプラントの種類、国内/海外でも差はありますが、おおむね次のような年収が得られると考えて間違いないでしょう。
大手(海外向け多し) | 中小(国内向けメイン) | |
---|---|---|
20代 | 550~750万円 | 450~650万円 |
30代 | 650~1000万円 | 600~800万円 |
40代 | 1000万円以上 | 750万円~1000万円 |
これは建築業界、土木業界のエンジニアと比べても高いようです。
国税庁の民間給与実態調査統計では日本の正規雇用者の平均年収が496万円となっているので、プラントエンジニアは20代にして日本の平均年収を超えることが可能だという事です。
なぜ航空整備士にプラントエンジニアがおススメなのか
機械・電気の知識が活かせる
航空整備士もまた幅広い知識が必要な職業です。
機械はもちろんのこと、熱力学、流体力学にも触れていて、一方で電気的な基礎知識や取扱いの心得もあります。
専門分野が幅広く、また深い知識が必要なプラントエンジニアですが、航空整備士にとってはなじみのある分野も多いことでしょう。
KYやCRMなど安全に対する知識が活かせる
航空業界は様々な安全に関する取組がなされています。
その中でもKYは建設分野でも日々使用されていますし、CRM(Crew Resource Management)などのヒューマンエラーに対する考え方や研究も活かすことが出来ます。
建設業界も大手を中心に、非常に厳しいルール作りや仕組みで労災を発生させないという考えは根付いてきていますが、毎回違う環境、違うメンバーで作業する建設業界では意識付けなどの面で課題も残っています。
そういった安全管理の分野でも航空業界のノウハウは活かせるのではないかと思います。
高待遇を目指せる
上でも書きましたがプラントエンジニアは高待遇を目指せる職種です。
それに航空整備士の給料というのは基本給以外の深夜勤務手当やシフト手当、搭乗手当、特殊作業手当などさまざまな手当によって成り立っています。
一方プラントエンジニアの給与の特徴として、基本給が高く、手当類は少ないという特徴があります。
これの何が良いかというと、残業代もボーナスも基本給を元に計算されるという事です。
プラスアルファで頑張った分は還元されやすいという仕組みになっています。
もう一つ違うのが、航空整備士と違い昇給しやすいという点です。
航空整備士はある程度資格を取れば頭打ちになっていた給料も、プラントエンジニアであれば50代まで徐々に上がり続けるのが一般的なようです。
プラントエンジニアに転職する際の注意点
一方でプラントエンジニアに転職する場合、注意点もあります。
思ったように転職活動がうまくいかない、転職して失敗した!とならないようにしっかりと考えましょう。
募集要項の条件に合致するかどうか
上でプラントエンジニアには3つの職種があると説明しました。
そのなかで気を付けないといけないのが、プラント設計を担う求人では募集条件に
- 理工系4大卒以上
- 設計職経験者
とあることが多くなっています。
しかし施工管理や保守・メンテナンスの募集では学歴・職歴不問の募集も多いですし、設計職の募集でも稀に専門卒以上、未経験歓迎の募集があります。
よく求人内容を確認して応募するようにしましょう。
リーダー的ポジションに抵抗は無いか
ご紹介した3職種いずれもリーダー的ポジションを担うことになります。
特に施工管理の現場では多くの施工業者さん、職人さんに指示を出したりまとめる必要があります。
もちろん自分よりはるかに年上の職人さんも大勢います。
普段は和気あいあいと接していれば大丈夫ですが、時にはやり直しを依頼したり不安全行動を注意したりといった行動も必要になります。
苦手だけど仕事だからと割り切ってできる人はたくさんいますので過度な心配はいりませんが、そういうポジションに立つ仕事なんだというのは認識しておく必要があります。
プラントエンジニアに転職しようと思ったら
未経験からプラントエンジニアを目指す場合、転職エージェントに登録するのがおすすめです。
プラントエンジニアの募集は経験者を求める募集も多いためです。
効率よく転職活動を進めるためにはキャリアアドバイザーにマッチする求人を探してもらうのが良いでしょう。
もちろんプラントエンジニアといっても色んな業界のプラントがあります。
面談の中でしっかりと希望を伝えることが重要です。